メタバース最大のデジタルファッションイベント「メタバースファッションウィーク」が、2023年3月28日~31日に、クリプト系メタバース「Decentraland(ディセントラランド)」で行われました。
メタバースファッションウィークは、今回で2回目の開催となります。(1回目は2022年3月開催)
ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)、コーチ(COACH)、アディダス(adidas)をはじめ、50を超えるブランドや企業、団体が参加したこのイベントに、遊びにいってきました。
僕自身、メタバースに興味を持ったきっかけが、第1回メタバースファッションウィークについてのVogueの記事を見たことがきっかけでした。
そこから1年。Decentralandで実際にウェアラブル(アバターに着せる洋服)を購入したり、LANDを開拓したりしながら、ついにメタバース最大のデジタルファッションイベントを体感できる日がやってまいりました。
結論、現実世界ではあり得ない演出の数々に、未来を感じることができました。
メタバースファッションウィークとは
メタバースファッションウィークとは、クリプト系メタバース「Decentraland(ディセントラランド)」で行われる、メタバース最大のファッションイベントです。
今回のテーマは、「Future Heritage」。
革新と伝統を結びつけ、ファッションの偉大な瞬間を振り返りながら未来を築いていくイベントを目指すことを今回のテーマにしているとのことです。
メタバースファッションウィークの特徴は、大きく3つあります。
- メタバース最大のデジタルファッションイベント
- グローバルな参加者と自由なコミュニケーション
- 様々なブランドの最先端の取り組みを体感可能
「メタバースファッションウィーク」については、【2023年3月開催】メタバースファッションウィークとは?【ファッションギーク向け】で詳しく解説しています。まずは、そちらをお読みいただけると、より解像度があがるのでオススメです。
Decentraland(ディセントラランド)とは
Decentraland(ディセントラランド)は、イーサリアムブロックチェーンをベースにしたクリプト系メタバースです。
メタバース空間の「LAND」と呼ばれる土地やウェアラブル(アバターに着用させるアイテム)を購入したり、メタバース内で開かれるイベントなどに参加して遊ぶことができます。
また、メタバース上でアバターが身につけるアイテムや土地、建物などを作成・販売することで利益を得ることも可能です。
Decentraland(ディセントラランド)の魅力
Decentraland(ディセントラランド)の魅力は、「ファッション」や「音楽」と親和性の高いプラットフォームであることです。
実際、メタバースファッションウィークを始め、アンブッシュ(AMBUSH)やアンリアレイジ(ANREALAGE)がNFTウェアラブルを発売したり、展示をしたりしています。
またDecentraland上では、トレンドのダンスミュージックや、クラブミュージックなどがBGMとして常に流れており、音楽を楽しみながら散策できるのも魅力です。
アバターやアバターやウェアラブルが、他のメタバースと比較して高解像度であることも魅力の1つといえます。
アバターの動き(エモート)も含め、ウェアラブルが「映える」解像度な点は、ファッションギークに刺さるポイントですよね。
このように、土地やNFTアイテムの売買だけではない魅力が、Decentralandにはあります。
「メタバースファッションウィーク」体験記
今年のメタバースファッションウィークは、3月28日~31日までの4日間、Decentraland上で開催されました。
お目当てのショーや展示は少しでも体感したいと思い、なんだかんだで毎日ログインをした4日間でした。
今回のイベントは、主に上記マップの赤枠部分、「メタバースファッションウィーク特設会場」と「UNXDラグジュアリーファッション地区」を中心に行われました。
メタバースファッションウィーク中の時間割に関しては、特設ページが設置されており、そこからお目当てのLANDには直接「JUMP IN」できます。
僕の今回の作戦は、お目当てのショーや展示を事前にGoogleカレンダーと連動しておき、アラーム設定しておくことで出来るかぎり見たいイベントは逃さない工夫をしました。(準備が大事です)
準備が整ったところで、さっそく、印象に残ったショーや展示を紹介していきます。
アディダス(adidas)
アディダスのショーは、今回もっとも印象に残るショーでした。
メタバースファッションウィークのメイン会場で行われましたショーは、カウントダウン表示が出た後、定刻通りにスタート。
続々と登場するアバターモデルは、まるで無重力状態にいるかのような軽やかな動きでランウェイを歩いたり、踊ったり。
前回のメタバースファッションウィークでは、ランウェイに来場者が上がってしまうといったイレギュラーな展開もあったようですが、今回はそんなこともなくスムーズに進行していきました。
「NEOBONE」 出典:adidas
コレクションピースは少ないものの、「WALLRUNNER」や「NEOBONE」 をまとったアバターと空間が創り上げるデジタルファッションショーは、メタバースだからこそ実現可能な構成と演出でした。
日本時間では3月30日の午前2時からという過酷(笑)なタイムスケジュールでしたが、眠い目が一瞬で覚めるような素晴らしいショーとなりました。
コーチ(COACH)
コーチは、コーチのアイコンである「Tabby(タビー)」のバッグが大きく鎮座したLANDでのイベントでした。
巨大なタビーバッグの中に入ると、そこは、ダンスフロアとなっており、COACHオリジナルのカスタムエモートで音楽に合わせて踊ったり、デジタルウェアラブルを獲得できるイベントです。
「タビーバッグの中がダンスフロア」というメタバースならではの設計がとてもユニークで、アバターがオリジナルダンスを踊るその空間は、とてもユニークなものでした。
アンリアレイジ(ANREALAGE)
アンリアレイジは、OASIS KYOTOで宇宙服にヒントを得た『ANREALAGE』2022A/Wコレクションの「PLANET」と、20周年を記念するパッチワークルックのコレクション「A&Z」を展示していました。
OASIS KYOTOとは、コインチェック株式会社がDecentraland上に所有するLANDの名称です。OASIS KYOTO内に設置されている寺院や商業施設などのイベント施設を散策したり、音楽やアートなどさまざまな分野のアーティストと交流をしたりして楽しむことができます。
アンリアレイジは、2022年10月にも、OASIS KYOTOで同内容の展示をおこなっており、その復活展示となります。
アンリアレイジは、以前からデジタルファッションで積極的な取り組みをおこなっており、今回の展示を見てもわかる通り、デジタルファッションの先端を感じられる、圧巻のクオリティでした。
アンリアレイジのNFTファッションに関しては、NFTファッションで先陣をきる国内ブランド3選【ファッションギーク向け】で詳しく書きました。ぜひ読んでみてくださいね。
トミー ヒルフィガー(Tommy Hilfiger)
トミー ヒルフィガーは、ロサンゼルスを拠点とするデジタルファッションプラットフォームのDress X(ドレスエックス)とパートナーを組み、AIデザインコンペティションや、ARでの試着、デジタルウェアを実際購入できたりと、様々なメタバース体験を提供していました。
トミー ヒルフィガーは、複数のメタバースを簡単に行き来できるクロスメタバースを、他のブランドに先駆けて取り組んでおり、その取り組みの一環として、Decentraland、Roblox、Spatial、DressX、Ready Player Meなどのメタバースにおいて、複数のバーチャル体験提供することを発表しています。
引き続き、トミー ヒルフィガーのデジタルファッションへの取り組みは目が離せませんね。
DressXに関しては、【徹底解剖】DressX(ドレスエックス)とは?【デジタル・NFTファッションの最注目プラットフォーム】で解説しています。ぜひ読んでみてください。
クラークス(Clarks)
クラークスは、クラークス アーケードという施設内に巨大な「ワラビーブーツ」を展示した特徴的な空間を演出していました。
ナイトクラブさながらのライティングのもと、クラークスをテーマにしたアーケード ゲーム、ダンスバトル、ユニークなウェアラブルを獲得できるゲームを提供していました。
クラークスは、ゲーム系メタバースのRoblox(ロブロックス)に「Cica verse」という空間をリリースしており、「ファッション」×「メタバース」×「ゲーム」の可能性を探りながら、積極的にデジタルファッションを推進しています。
伝統のある英国ブランドとデジタルの掛け合わせは、とても興味深く、今後の取り組みもとても楽しみなブランドの1つです。
無料配布でゲットしたウェアラブル
メタバースファッションウィークでは、参加ブランドの多くが限定ウェアラブルを提供していました。
Decentralandのウェアラブルは、NFTアイテムなので、自分のデジタルウォレットに保有できるのが嬉しい点です。
今回のメタバースファッションウィークでは、主に3種類の方法で、ゲットできるウェアラブル(アイテム)がありました。
- ショップに訪れるだけでゲットできるアイテム
- ゲームに参加してゲットできるアイテム
- そのブランドのNFTアイテムを所有している人のみゲットできるアイテム
今回は、その中で僕がゲットしたウェアラブルをご紹介します。
ベン ブリッジ(Ben Bridge)
ベン ブリッジは、5世代にわたり100年以上続く、ジュエリーショップです。ロレックスの正規取扱店でもあり、次世代へ引き継がれる宝飾品を提供することをコンセプトに精選された商品が並ぶショップです。
今回は、カウンターの女性から課されるクイズに答えていくことで、アナログ時計のヘルメットをゲットしました。
ディーゼル(Diesel)
ディーゼルは、NFTプロジェクト「HAPE」とのバーチャルパーティで、無料の赤色のロゴキャップを配布していました。ゲットしたキャップをすぐに着用してパーティに参加することで、一気にパーティへ溶け込めました。
ディーケーエヌワイ(DKNY)
ディーケーエヌワイ(DKNY)は、ショップに訪れるだけで、白のロゴ入りバケットハットをゲットできました。
ディーケーエヌワイ(DKNY)の路面店は、側面に大きなDKNYのロゴがデザインされており、その視認性の高さからもひときわ目立つ外観でした。
ブルームウェイ(Vroomway)
レーシングゲームのブルームウェイ(Vroomway)のアフターパーティーでは、ネオンカラーのフィンガーグローブが無料配布されていました。
施設内では、自分のアバターがレーシングカーに変身して移動できる仕様となっており、とてもユニークなアフターパーティーでした。
ローランド ライフスタイル(Roland Lifestyle)
大手電子機器メーカー「Roland」のアパレルライン、ローランド ライフスタイル(Roland Lifestyle)のLANDでは、無料で赤のロゴキャップが配布されていました。
僕は今回、合計5個のウェアラブルをゲットしましたが、他のユーザーの中には、ウェアラブルハンター的な人がいて、その人は、15種類以上のウェアラブルをゲットしていました。
こういったイベントでのNFTアイテムの配布は、お得感を感じる一方、純粋にゲームを楽しみながらそのブランドの歴史や概要を知れるというゲーム性がとても面白いと感じました。
参加してみての振り返り
3月28日~31日の4日間、メタバースファッションウィークに参加してみて、感じた点がいくつかあります。
まず良かった点を3つ。
- ランウェイでのショーは、アバターの動き、ウェアラブルのデザインがメタバースだからこそ実現できるものが多かった
- Twitterで「#MVFW23」の情報をおうことで、リアルタイムで世界各国のユーザーがキャッチアップした情報を得ることができた
- 無料のウェアラブルをゲームを楽しみながらゲットすることができた
やはり、現実世界では難しい演出やデザインを可能にする点は、メタバースでのイベントの醍醐味だと感じました。
また、TwitterなどのSNSで同時に情報をゲットすることで、スムーズにメタバースファッションウィークの概要や状況を理解できた点がよかったです。
一方、課題もありました。
課題は大きく3つ。
- 日本人ユーザーをあまり見かけなかった
- 目玉となるショーや展示の開催時間が日本時間で夜中から早朝になることが多かった
- イベント期間中は、通常時よりもDecentralandが重くなり、時々画面がフリーズすることがあった
メタバースのの魅力の1つに、「ユーザー同士のコミュニケーション」がありますが、Decentralandはまだ日本では多くの認知獲得には至っていません。
そのため、メタバースファッションウィーク期間中、日本語でテキストチャットが行われることはほぼありませんでした。
「日本人ユーザーの獲得」「サーバー負荷への対策」が実現するとさらに盛り上がるプラットフォームになると実感しました。
まとめ
今回は「メタバースファッションウィーク」についての体験ルポでした。
当ブログ「channel IVY」ではDecentralandやメタバースファッションウィークに関して、たびたび言及してきましたが、まだハードルが高いと思っている人がほどんどではないでしょうか。
しかし、ファッション業界のデジタル化が加速度的に進んでいる以上、はやい段階からメタバースでのイベントや、デジタルファッションの動向を追っておくことは、ファッションギークにとって大きなストロングポイントになります。
クリプト系メタバースやNFTの保有に関しては、簡単な暗号資産の理解とデジタルウォレットの作成だけ済ませてしまえば、ハードルは決して高くありません。
ぜひ、次回のメタバースファッションウィークには参加できるよう、今からでもデジタルウォレットを作成してみたり、暗号資産を保有してみたりして、少しずつweb3に触れておくことをおすすめします。
近いうち、どこかのメタバースで一緒に散策できることを心待ちにしていますね。
では、また。