「NFTファッションって聞いたことはあるけど、実際どんなブランドがNFTを発売しているんだろう…」
洋服が好きな人は、流行への感度が高いので、このような疑問を持つ人も多いと思います。
ただ、NFTはデジタルデータなので、外に着ていくことも出来ないですし、相当なモノ好きでない限り、着れないモノを熱心にググる人はいないですよね。
僕はリアルな洋服はもちろんのこと、デジタル関連の情報やサービス、ツールをいじり倒すのが大好物なモノ好きです。
なので今回は、そんなモノ好きがファッションギークに向けて、「NFTファッションで先陣をきる国内ブランド3選」を書きます。
この記事はこんな疑問をもつ人にオススメ
- NFTファッションってそもそもよく分からないな
- 日本のブランドで、NFT作品を発売しているブランドってどんなブランドだろう
- NFTを保有するとどんなメリットがあるのだろう
今回は、リアルな洋服を製作していて、かつNFT作品を制作している日本のブランドから3ブランドを、僕の独断と偏見でご紹介します。
では、いきましょう!
NFTファッションとは
NFTファッションとは、NFT(非代替性トークン)というデジタルデータに唯一性を付与することができるブロックチェーン技術を活用したファッションのことをさします。
NFTファッションは、メタバースでアバターやキャラクターに着用させたり、コレクションとしての保有が可能です。また、そのNFTを2次流通で売買することで利益を得たりと、さまざまな楽しみ方や活用方法が期待されています。
そもそも、NFT自体がよくわからないな…
NFTとは、「替えが効かない」トークンのこと。鑑定書・所有証明書付きで偽造することが非常に難しいんだよ。
そもそも「トークン」って何?
ここで使われる意味としては、ブロックチェーン技術を用いて発行した「デジタル資産」のことを指すよ。
NFTには、「デジタルアート」「デジタルファッション」「ゲームアセット」「動画」「音楽」「メタバースの土地」など様々な種類があります。
その様々なデジタルデータの所有者を明確にできるのがNFTの最大の特徴です。
NFTファッションは、この中の「デジタルファッション」にあたります。
NFTファッションを手掛けるファッションブランドの種類
NFTファッションのブランドは大きくわけて2種類あります。
リアルな洋服の制作からスタートしたファッションブランド
日本国内でNFTファッションを制作している代表的なブランドは以下となります。
どのブランドも、「唯一性」をもった「前衛的」なデザインを得意としたブランドですね。
デジタルファッション発のファッションブランド
デジタルファッション発の代表的なブランドは、こちらです。
リアルな洋服の制作からスタートしたブランドとは、デザインのアプローチが異なる点がとても興味深いですよね。
デジタルファッションは、NFTマーケットプレイス「OpenSea」や、アバターの洋服、スキン等、創作物の総合マーケット「BOOTH」などで販売・購入ができます。
デジタルファッション発のファッションブランドについては、また別記事で書かせていただきますね。
NFTファッションで先陣をきる国内ブランド3選
NFTファッションで先陣をきっている国内ブランドとして、3ブランドを紹介します。
- アンブッシュ(AMBUSH)
- アンリアレイジ(ANREALAGE)
- トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)
3ブランドともに世界のファッションシーンから見ても、特異で強力な光を放っているブランドです。
僕は元々コンサバで、日常に自然と溶け込むリアルクローズを好んで着用しています。そのため、この3ブランドを着る機会はほぼありません。
しかし、毎シーズン必ずコレクションが気になるし、これらのブランドの一挙手一投足が気になって気になって…。
そんな魅力的なブランドがつくるNFTを順にご紹介します。
アンブッシュ(AMBUSH)
アンブッシュ(AMBUSH)とは
〈AMBUSH〉は、2008年にVERBALとYOONによってスタートしたブランド。
ウィット感に富んだユニークなデザインが最大の特徴です。
18金、プラチナ、ダイアモンド等の高級素材を使用し、遊び心をジュエリーに落とし込んだデザインが他のブランドと一線を画しています。そのため日本のみならず、世界のファッションギークから愛されているブランドです。
音楽やストリートファッションをルーツに持つ2人なだけに、〈AMBUSH〉の洋服やジュエリーからは、「遊び心」「ストリート&ラグジュアリー」「挑戦」のような要素を強く感じることができます。
多彩なコラボレーション
〈AMBUSH〉は、2人の豊富なコネクションにより、様々なコラボレーションをこれまでに実現しています。
- ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)(キム・ジョーンズ期)
- メゾン キツネ(Maison Kitsune)
- ベイシング エイプ(A BATHING APE)
- ダブルタップス(WTAPS)
- サカイ(sacai)
- アンダーカバー(UNDERCOVER)
- ナイキ(Nike)
挙げるとキリがないほどのコラボレーションをしており、世界中のブランドから愛されていることが一目瞭然ですね。
また、あのTravis Scottがメジャーデビュー前のまだ無名だった頃、Verbalに影響を受けたいたことがわかるブログ投稿をしていたことが発見されました。その事からも、国境を越えてプロップスを得ていたことが想像できます。
アンブッシュ(AMBUSH)とNFT
POW!® “Reboot”
〈AMBUSH〉のNFT作品が初めて発売されたのは、2022年2月の「POW!® “Reboot”」です。
2008年に発売され、世界中のセレブリティにも愛された「POW!®」のNFT作品として制作・販売されました。
「POW!® “Reboot”」を保有するメリットは、NFTが発行され、所有権を獲得するだけではありません。このNFTを持っているホルダーは、〈AMBUSH〉が提案する「ロードマップ」を元に、「リアルアイテムの優先購入」や「ホルダーのみ参加できるイベントへのアクセス」などを提供されます。
アンブッシュ×Zellerfield
「100S」は、リサイクル素材による3Dプリンターで作られたマルチバースコンセプトのクロッグサンダルです。
(※マルチバースコンセプトとは、複数のメタバースで使用できる仕様になっているということです)
この「100S」は、アメリカ・サンフランシスコに拠点を置くテック企業「ゼラーフェルド(Zellerfield)」とタッグを組み、制作されました。
「100S」の最大の特徴は、メタバースと現実世界の両方で着用可能な点です。
「100S」はサンダルとして実際に着用可能でありながら、NFTとして発行されます。「100S」のNFTは、アンブッシュのメタバース「AMBUSH® SILVER FCTRY」内で自身のアバターに着用させることが可能です。
〈AMBUSH〉はこれら以外にも、アジア発のNFTプロジェクトである「Monkey Kingdom」、ロサンゼルスに拠点を置くWeb3.0企業「OP3N」とブロックチェーン企業「Avalanche」などともNFTを発表しており、その精力的な姿勢には今後も注目ですね。
AMBUSH® SILVER FCTRY
〈AMBUSH〉は、さまざまなブランド体験ができる場として、「アンブッシュ シルバー ファクトリー(AMBUSH SILVER FCTRY)」というメタバース空間を公開しています。
これは、宇宙船をテーマに独自開発で生まれたプラットフォームです。
「AMBUSH SILVER FCTRY」は4つの部屋で構成されており、最新映像の視聴にとどまらず、過去アーカイブ映像や写真の視聴も可能となっています。また、この空間では、〈AMBUSH〉のNFTアイテムをアバターに着用させることが可能です。
アカウント作成せずに、無料でメタバース空間を体験できるので、ぜひのぞいて、回遊してみてくださいね。
また、Verbalは、2023年2月に行われた「NFT PARIS 2023」に登壇し、NFTについて世界各国のWeb3.0のキーマンと対談していました。この事からも、今後も精力的にNFT作品を発表していくことが予想されます。
このように〈AMBUSH〉は、NFTやメタバースなどの「Web3.0」領域に積極的にチャレンジしています。常に〈AMBUSH〉の動向を追うことは、ファッション業界の未来を一足先に体験するチャンスになるでしょう。
アンリアレイジ(ANREALAGE)
アンリアレイジ(ANREALAGE)とは
〈ANREALAGE〉は、2003年に森永邦彦によってスタートしたブランド。
カラフルで細やかなパッチワーク、人間の身体にとらわれない独創的なフォルムの洋服、また最新テクノロジーを積極的に取り入れたコレクションが特徴です。
「日常」の中で見過ごされている「非日常」にフォーカスして生み出されるコレクションは、アート性が高く、一目見て〈ANREALAGE〉の洋服だと認識できる個性を放っています。
デジタル技術を駆使したコレクション
〈ANREALAGE〉は、デジタル技術を駆使したコレクションに定評があるブランドです。
毎シーズンのショーはデジタル技術を用いて、「光」「音」「映像」「空間」「モデル」「服」が見事に融合したチャレンジングなショーを魅せてくれます。
2015年春夏コレクションからパリコレクションに舞台をうつし、ショーをおこなっています。
上記の動画、AUTUMN/WINTER 2023-24 COLLECTIONでは、フォトクロミックという材料を用いた光で色が変わる服が登場しました。
白い生地にカラフルな模様が浮き出る仕掛けには、「どうなってるの??」と脳内バグが発生。(笑)
毎回驚きやインスピレーションを提供してくれるショーばかりです。
世界的歌姫であるビヨンセ(Beyoncé)が、2023年5月よりスタートさせたワールドツアー。その衣装を、森永邦彦が手掛けました。
その際、このフォトクロミックという材料を用いた光で色が変わる服が使われており、大変話題になっていました。
日常を非日常に変えるデザインに、真摯に向き合っている〈ANREALAGE〉は、今後も、デジタルを駆使して様々な驚きとワクワクを提供してくれるでしょう。
アンリアレイジ(ANREALAGE)とNFT
ANREALAGE×BELLE LOOK
〈ANREALAGE〉が、映画「竜とそばかすの姫」とコラボレーションした「ANREALAGE ✕ BELLE LOOK」のNFT作品がこちらです。
「竜とそばかすの姫」は細田守監督が2021年に公開した映画で、50億人以上が集うインターネット仮想世界〈U〉と出会った女子高生を主人公とした物語。
この主人公「ベル」の衣装を森永邦彦がデザインしたことで話題となりました。
(メタバースが舞台となった映画で、音楽と空間デザインがマッチした、とても素晴らしい映画でした。見ていない人はぜひ!)
主人公「ベル」とコラボレーションした、〈ANREALAGE〉の2022年春夏コレクションの動画がこちら。
ここで発表したNFT作品の内、計11点が日本初のNFT美術館 「NFT鳴門美術館」によって落札され、話題となりました。
NFT鳴門美術館が落札したのは、下記11点の総額5000万円!
・「ANREALAGE x BELLE LOOK」のNFT作品1点(1,500万円)
・パリコレクションで発表された〈ANREALAGE〉のデジタルルック10作品(各350万円・計3,500万円)
これらの作品の詳細は、NFT鳴門美術館の公式HPで見ることができます。
アンリアレイジ×AIR SMOKE ZERO
「AIR SMOKE ZERO」は、ロサンゼルスと東京に本拠を持つ、Web3.0クリエイティブスタジオ「1BLOCK STUDIO」のスニーカーブランドです。
1BLOCKについては、【徹底解剖】日本初のデジタルファッションレーベル・1Blockとは?【BEAMSやatmosとコラボも】という記事で詳細に解説しています。ぜひ読んでみてくださいね。
そんな日本初のバーチャルスニーカーブランド「Air Smoke Zero」と〈ANREALAGE〉がコラボレーションしたNFTスニーカーがこちら。
〈ANREALAGE〉らしいパッチワークがデジタルデザインとして落とし込まれた1足。5足限定で販売されていますが、個人的には、オールブラックカラーが好みです。カッコイイ。
本コラボレーションはインターナショナル・モード誌『Numéro TOKYO』との共同プロジェクト「MetaGallery by Numéro TOKYO」のコレクション第二弾として実現したものです。
OpenSeaのAIR SMOKE ZEROページには、様々なカラーリングのNFTスニーカーが並んでいます。
見ているだけでも眼福のラインナップですね。ぜひチェックしてみてください。
アンリアレイジ×PARCO
〈ANREALAGE〉と株式会社パルコは、2022年3月の「メタバースファッションウィーク」の期間中に、限定NFT40個を先着で配布していました。(渋谷PARCOのポップアップストア「ANREALAGE DIGITAL SHOP」にて配布)
NFTを活用した新しいノベルティの形を提案していて、非常に面白いですよね。
また、同期間に行われていた「メタバースファッションウィーク」は、クリプト系メタバースの「Decentraland(ディセントラランド)」で開催され、日本からは唯一〈ANREALAGE〉が参加しました。
こういった新しいイベントにも積極的に参加していく〈ANREALAGE〉。これからもチェック必須ですね。
メタバースファッションウィークについては、【体験ルポ】2023年3月開催のメタバースファッションウィークで未来の光を浴びてきたで詳しく書きました。ぜひ読んでみてください。
トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)
トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)とは
〈TOMO KOIZUMI〉は、2011年に小泉智貴によってスタートしたブランド。
幾重にも重なるフリル、鮮やかな色遣い、大胆なシルエットのコスチュームやドレスが特徴的です。
その中でも、ブランドを代表する「ラッフルドレス」は、なんとも華やか。一目見ただけで、それが〈TOMO KOIZUMI〉だと認識できるほどのアイコニックなデザインです。
既存の概念にとらわれず、独自のスタイルの表現は、他のブランドとは一線ておりており、近年のファッション業界に新しい風を吹かせています。
世界中のアーティストやブランドからのラブコール
〈TOMO KOIZUMI〉は、レディー・ガガ(Lady Gaga)やミーシャ(MISIA)、パフューム(Perfume)といったアーティストへの衣装提供をはじめ、〈EMILIO PUCCI〉や〈sacai〉といったブランドとのコラボレーションも数多く発表しています。
そういった錚々(そうそう)たるアーティストやブランドから選ばれる理由は、なんといっても、ピュアに美しいものを作りたいという〈TOMO KOIZUMI〉の「想い」と、その想いを具現化する「技術」ではないでしょうか。
実際、あるインタビューで〈TOMO KOIZUMI〉は、「ひとめ見て美しく、ワクワクするものが作りたい」と話していました。また服作りの信条は「服を通して喜びをシェアしたい」ということからも、「ピュアに美しいものを作ること」を追い求めていることがわかります。
そういった想いから作られる美しく華やかなアイテムだからこそ、世界中のアーティストやブランドから選ばれているのだと思います。
トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)とNFT
トモ コイズミ×Joyfa
〈TOMO KOIZUMI〉がデザインを担当し、デジタルファッションハウス「ジョイファ(Joyfa)」が制作を手掛けたバーチャルドレスが、上記画像のラッフルシリーズのNFTドレスです。
「Rainbow Egg Ruffle Cape」と、2021年のコレクションピースをリデザインした「Puffy Sleeve Ruffle Dress」が、コインチェックが提供するマーケットプレイス「Coincheck NFT(β版)」で発売されました。(2022年2月)
「Puffy Sleeve Ruffle Dress」は、世界遺産の二条城を舞台に実施された2022年コレクションで発表されたコレクションピース。
それを、リデザインした上で、デジタルファッションとしてNFT化されました。
購入者は、ジョイファのサービスを利用することで、デジタル上でドレスを着用することができます。
販売価格は、3.5~5ETH(※1ETH=約221,700円 2023年2月28日時点)ですが、限定6着という希少性を考えると価値は上がっていきそうですね。
トモ コイズミ×冨永 愛
〈TOMO KOIZUMI〉の衣装をまとった冨永 愛のデジタルツインがNFT作品として2022年に発売されました。
デジタルツイン:フィジカルデータをデジタルに再現したものおよびその技術のこと。
このデジタルツインは、「スタートバーン」と「サイバーエージェント」の「NFT共創プロジェクト」としてスタートしました。
著名人のデジタルツインをキャスティングするサービス「デジタルツインレーベル」の1人目の公式3DCGモデルとして、モデルの冨永愛のデジタルツインを制作したものとなります。
この作品は、グローバル最大規模のNFTマーケットプレイス「OpenSea」においてNFT販売されました。
冨永 愛のデジタルツインのクオリティもさることながら、布生地の質感や素材特性を3DCG上に見事に再現された〈TOMO KOIZUMI〉のドレスも相まって、ただならぬオーラを放ったNFTですね。
トモ コイズミ×メタバース都市「Oasis」
コインチェック株式会社が取り組むメタバース都市「Oasis(オアシス)」と、〈TOMO KOIZUMI〉が、メタバース上でのファッションショー実施等を目指しているという発表が2022年9月にありました。
コインチェックは、「2035年の近未来都市」をコンセプトにしたメタバース都市「Oasis」の制作および開発を進めています。
コインチェックは、クリプト系メタバースの3つのプラットフォーム上にそれぞれ「Oasis」を制作、公開中です。
- 「The Sandbox」・・・Oasis TOKYO
- 「Decentraland」・・・Oasis KYOTO
- 「Otherside」・・・Oasis MARS
実際にメタバース空間で見る、〈TOMO KOIZUMI〉のコレクションは間違いなく華やかで圧巻のショーになるでしょう。期待しかありませんね。
また、この中の「Oasis KYOTO」では、2022年10月に〈ANREALAGE〉が「ANREALAGE “A&Z”METAVERSE SHOWROOM」をオープンしていました。
「Oasis」で開催される様々なファッションイベントは、今後も要チェックです。
まとめ
ここまでお付き合い頂き、まことにありがとうございます。
今回は「NFTファッションで先陣をきる国内ブランド3選」について、ファッション好きやファッションに興味がある人に向けて書きました。
ご紹介した3ブランドは、どのブランドも魅力満載で、文字数を削るのが一苦労でした。
NFTは、保有していることで価値が上昇することがあったり、またホルダー限定の特典等がとても魅力です。
ただ、ご紹介した3ブランドのNFTに関しては、投資目的だけでなく、デジタルファッションとして、どれも目で楽しむことのできるマスターピースだと思います。
ぜひ、OpenSeaやYouTube等で3ブランドの作品を見てみてくださいね。
リアルな洋服だけでなく、NFTファッションに果敢にチャレンジするブランドの取り組みを僕自身、今後も楽しんでいきたいと思います。