「トム・サックスってどんな人だろう…」
「トム・サックスの作品が好きなんだけど、NFTも作ってるらしいから見てみたいな…」
「トム・サックスのスニーカーがすごく人気だけど、NFTも人気なのかな…」
このような疑問をもつ人に向けて、「トム・サックス(Tom Sachs)のNFTコレクション」についてわかりやすく解説します。
結論、トム・サックスのNFT作品は非常に人気があり、OpenSea(NFTマーケットプレイス)でかなりの高額で売買取引が行われています。
NFTの、「購入」→「保有」→「体験」→「売買」までの設計がとてもユニークなのが特徴です。
トム・サックスのNFT作品や、トム・サックス自身について、できるかぎり平易な言葉でわかりやすく解説しますので、安心して付いてきてくださいね。
では、いきましょう!
トム・サックス(Tom Sachs)とは
トム・サックス(Tom Sachs)は1966年ニューヨーク生まれ、アメリカの現代アーティスト(彫刻家)です。
「handmade piece from readymade goods(既製品からの手作り)」をテーマに、身近にある簡素な素材を使用してDIY風のアプローチで作品を生み出し続けています。
トム・サックスの作品は、宇宙を連想させる作品が多く、60sと70sのアポロ計画の宇宙船や機材をモチーフとした作風が特徴の1つです。
トム・サックスの制作は様々なフィールドで発揮されており、フランク・オーシャン(Frank Ocean)直々のアプローチで、「Provider」のリリックビデオを手掛けたりもしていました。
「アート」「音楽」「ファッション」を中心に作られる彼の作品や展示は、常に世界中から注目の的となっています。
トム・サックス(Tom Sachs)の代表的な作品
NFT作品を紹介する前に、トム・サックスの代表的なリアルな作品を3つ紹介します。
「Hermes Value Meal」・・・エルメスの包装紙で再現されたマクドナルドのハンバーガーセット(1997年発表)
「Prada Toilet」・・・プラダのシューズボックスを使用してつくった便器(1997年発表)
「Kelly Bag」・・・エルメスを象徴するアイテムの1つであるケリーバッグをモチーフに制作されたバッグ。ブラックカラーのキャンバスとレザーでほぼそっくりに再現したアートピース(2020年発表)
どれもブランドのアイコンとなるロゴやアイテムをモチーフにつくられた作品で、わかりやすく、かつユーモラス。
トム・サックス自身は、「ファッションの【シーズン】という考え方は、計画的に製品を廃れさせることへ直結している。」と述べており、ブランドが提供する消費アイテムへのアンチテーゼが、創作の源の1つになっているようです。
それも踏まえて見ると、作品の見え方も大きく変わってくるのではないでしょうか。
トム・サックス(Tom Sachs)×ナイキ(Nike)のコラボレーション
トム・サックス(Tom Sachs)とナイキ(Nike)は2012年から継続的にコラボレーションをおこなっています。
コラボレーションしたスニーカーや洋服は、明らかに他のブランドとナイキのコラボレーションアイテムとは一線を画す、異質なデザインです。
そのため、毎回、リセール市場では想像を超えるプレ値が付く自体となっています。
「Tom Sachs × Nike Mars Yard 2.0」は、この配色を見ただけで、「マーズヤード2.0だ!」と認識してしまうほどの強烈なインパクトを放っています。
摩耗試験、強度試験、折りたたみ試験など、さまざまな試験をクリアした一足ではあるのですが、さすがにこれを普段履きしている猛者はほぼ見かけませんよね。
26~28cmのいわゆるゴールデンサイズは、Stock Xで現在792,900~1,542,100円(2023年3月2日時点)で取り引きされています。す、すごい。
「Tom Sachs × Nike Mars Yard Overshoe」は、ニューヨークで最も悪天候とされる3月のために作られたシューズ。
ナイロンで補強されたダイニーマ製アッパーが特徴的です。このアッパーのナイロン部分をセルフカットして履いていた知人がいるのですが、思い切りのよさとセンスにやられました。
「Tom Sachs × Nike General Purpose Shoe」は、2022年に発売された一足。
Nikeの「KIllshot」を想起させるコートシューズがベースとなったデザインです。
一見シンプルですが、この一足をつくるのにはどうやら膨大な時間がかかったようです。あらゆるテストをトム・サックスのチームと、ナイキチームで繰り返し、完成したスニーカー。
このストーリーだけで欲しくなってしまうのは僕だけではないはず。
「General Purpose Shoe」は、トム・サックスの「たくさんの人の元に届き、実際に履いてもらいたい。」という想いのもと、生産数も多いのが特徴です。実際、リセール市場の価格は、Mars Yardシリーズと比較してもだいぶ落ち着いた印象です。
後述しますが、「General Purpose Shoe」のOGカラー(クリーム色)は、トム・サックスの展開しているNFT 「Rocket Factory」の「Assembled Rocket NFT」を所有している人に無償で提供されたモデルになります。
トム・サックス(Tom Sachs)とNFT
ロケット ファクトリー(ROCKET FACTORY)について
トム・サックスは、「ロケット ファクトリー(ROCKET FACTORY)」というNFTプロジェクトをおこなっています。
「ロケット ファクトリー」は2021年からスタートしており、NFTを購入してから、様々な体験や特典の提供までをユーモラスに設計されています。
「ロケット ファクトリー」は大まかに下記の流れです。
- ロケットの「先端(nose cone)」、「胴体(Body)」、「尾部(Tail Assembly)」の3つのNFTを、マーケットプレイスでイーサリアム(ETH)で購入する。
- 3つのパーツが揃ったら、サイト内にてロケットを組み立てることができ、1つのロケット(NFT)が完成する。
- 3つの部品のNFTは「バーン(burn)」と呼ばれる焼却処理をされ、なくなる。
- 完成した1つのロケットのNFTを手に入れることができる。
- オリジナルのNFTが出来上がると、トム・サックスがそのデザインを模した小さな実物のロケットを制作する(1000体限定)
- 実際にロケットの打ち上げが行われる。
- NFTのオーナーは、ロケットの打ち上げイベントに招待され、その様子を現地で観ることができる。
- 実物ロケットは打ち上げ後に回収され、オーナーにプレゼントされる。
とてもユニークな発想ですし、それを実現してしまうチーム力が素晴らしいですね。
僕自身、このプロジェクトを知った時、「NFT」という概念が拡張されていく感覚をおぼえました。
完成されたロケットのNFTは、OpenSeaで売買されているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
ロケット ファクトリー(ROCKET FACTORY)とティファニー(Tiffany & Co.)
ティファニーは、2022年3月に「ロケット ファクトリー」の完成形ロケットNFTを115ETH(※購入当時で約4,700万円)で購入しました。
このNFTは「Okapi」と称されたNFTで、ティファニーがOpenSeaで買ったものです。
ティファニーはNFT購入後、同社のSNSのアカウントのアイコンを「Okapi」のイメージに変更し、以下のようなメッセージを公開しました。
「Rocket Factoryの「Okapi」を購入し、NFTの領域に参入したことを発表します。ファインアートコレクションの進化はここにあり、NFTの未来は明るいと言えるでしょう。私たちのブランドに関するアート作品を制作してきたTom Sachsと長年のパートナーシップを継続できることに、とても興奮しています」
Tiffany & Co.の公式Twitterより
このティファニーのNFT購入により、多くの人々がこのコレクションに関心を示し、サイトへのアクセスが急増したそうです。
NFTバブルといっても過言ではない価格でのやりとりからも、ラグジュアリーブランドがNFTに興味・関心を持っていることがわかると思います。
ロケット ファクトリー(ROCKET FACTORY)とナイキ(Nike)
「Tom Sachs × Nike General Purpose Shoe」は、2022年に発売された一足です。
このシューズは、「ロケットファクトリー」のNFTを所有している人に無償で提供されたカラーモデルになります。
「ロケットファクトリー」の所有者には、このスニーカーの他にも、「Rocket Factory Fanny Pack Pro」(下記画像)の無償提供もあったそうです。
NFTを保有するメリットの1つとして、こういった特典やサプライズが起こることだと思います。
NFTを保有することの楽しさは、単にデジタル資産を投資目的で保有するだけでなく、コミュニティの一員として、様々な体験や特典があるということではないでしょうか。
これを提供されたホルダーの人、うらやましい限りですね。
まとめ
今回は「トム・サックス(Tom Sachs)のNFTコレクション」について、トム・サックスの「人となり」から代表的なリアルな作品、そしてNFTプロジェクトである「ロケットファクトリー(Rocket Factory)」の魅力を紹介しました。
トム・サックスについては、僕自身、人柄も作品も大好きな現代アーティストなので、記事を書き進める手が一向に止まりませんでした。
「ロケットファクトリー」について記事を書いて、あらためて思ったこと。
それは、どの個人や企業も、NFTというものに手探りで取り組んでいる中、トム・サックスの「ロケットファクトリー」は、「所有」「体験」「付加価値」を提供している稀有(けう)なプロジェクトだということです。
NFTプロジェクト自体を「アート」にしてしまっていると感じました。
僕は、トム・サックスのNFTは保有していないのですが、あらたに彼がNFTを出す際は、そのチャンスを逃さないよう、コツコツ(お小遣いから少しずつ)イーサリアム(ETH)を購入して、情報をキャッチアップしておこうと思います。
では、また。