1か月に1度は、振り返りをかねて散文を書こうと思い、カタカタとキーボードを叩き始めました。
2023年1月末に開始したこの「channel IVY」は、5月末までに40記事を越え、自然検索からたどり着いてくれる読者の方も、毎月、約3倍のペースで増え続けています。
いつも読んでくれて、本当に感謝です。
仕事と子育ての合間に、NFTやメタバース、AIや暗号資産に触れ続ける日々。
そこに関わる人々の「思考」や「知見」に触れることができるのは非常に面白いものです。
今回は、そんなweb3領域の「NFT」における重要な「カギ」について、簡単に書いていこうと思います。
NFTは、継続的な活動が勝つ
2023年に入り、多くのNFTプロジェクトや、そのプロジェクトのコミュニティを見てきました。
そもそも、NFTとは、「替えが効かない」デジタル資産のことを指します。
ブロックチェーン技術を活用することで、唯一性を付与する事ができるため、鑑定書・所有証明書付きで偽造不可能なデジタル資産であることが特徴です。
詳しくは、【超初心者でも簡単にわかる】NFTとは?仕組みや始め方をファッションギークにむけてわかりやすく解説で画像付きで解説しています。ぜひそちらも読んでみてくださいね。
NFTと聞くと、デジタルアートをイメージする人が多いのですが、それだけでなく、「デジタルファッション」「ゲームアセット」「動画」「音楽」「メタバースの土地」「デジタル会員証」など、幅広い使い道があるのが、NFTの特徴です。
そんなNFTで一番大事な要素はなんだと思いますか。
それは、継続的かつ精力的なプロジェクトの運営です。
(地味な答えですみません)
「えっ?その作品のクオリティでしょ」
「作品をつくったアーティストの知名度じゃないのか」
もちろん、作品のクオリティや、アーティストの知名度、リリースのタイミング、もろもろの付加価値は大事な要素です。
実際、NFTバブルの2021年は、当時小学3年生の男の子が描いたピクセルアート「Zombie Zoo」に約380万円の価値がついたりした時期もありました。
ただ、現在は、そういったバブルは過ぎ去っています。
現在、人気があるNFTプロジェクトは、コミュニティをつくり、ホルダーとともにプロジェクトを盛り上げる工夫をし続けています。
また、そういったプロジェクトは、ホルダーに継続的にエアドロップ(NFTの無償配布)やフィジカルアイテムの特典を配布することも忘れてはいません。
もちろん、プロジェクトの運営者、アーティストが著名な人であればあるほど、取引価格が高騰するのは事実です。
しかし、「継続的かつ精力的なプロジェクトの運営」がなければ、プロジェクトを立ち上げた人がどんなに著名な人であっても、大抵の場合、取引価格は下落します。
fragment designのNFTプロジェクト
ファッションギークなら誰でもご存じの藤原ヒロシさん。
そんな藤原ヒロシさんのデザインプロジェクトが、fragment designです。
満40歳の僕は、まさにドンピシャ世代であり、ヒロシさんの数々のプロジェクトに心を躍らせてきた1人であります。
そんなfragment designですが、実は2021年にNFTプロジェクト「NON FRAGMENT TOKEN(ノン・フラグメント・トークン)」をリリースしていたのはご存じでしょうか。
「NON FRAGMENT TOKEN」は、藤原ヒロシさん、伝説的スケートボーダー/アーティスト のMark Gonzales(マーク・ゴンザレス)によるコラボNFTです。
このNFTは、ゴンズの代表的なキャラクターであるShmoo(シュムー)がベースとなっています。
同キャラクターは10,000人の分身を持ち、それぞれが「ストリートカルチャーの異なる次元からやってきた」という設定です。
そんな「NON FRAGMENT TOKEN」ですが、2022年1月に、7SOLの販売価格でリリースされ、10,000点が完売しました。
藤原ヒロシさんと、ゴンズが携わったNFTなので、完売したことに驚く人は少ないと思います。
しかし、この「NON FRAGMENT TOKEN」、現在のフロア価格(最低価格)は、0.385SOLと大幅に下落しています。(SolanaのNFTを扱うNFTマーケットプレイス「Magic Eden」の2023年6月2日現在のフロア価格)
ソラナ自体の価値は、2022年1月末時点では、1SOLが約1万円でしたが、2023年6月2日現在、1SOLが約2,900円と下落しており、総合的に「NON FRAGMENT TOKEN」の価値は下がってしまいました。
ミント時に約70,000円のNFTが、現在は、約1,100円です。
現実世界の、ヒロシさんの関わったアイテムでこんなことは今までありませんでしたよね。
なぜ「NON FRAGMENT TOKEN」は下落しているのか
ここまで「NON FRAGMENT TOKEN」が下落しているには、原因があります。
一番の原因は、NFTの初回販売(ミント)以降、プロジェクトの継続的な活動がないこと。
当然、2022年1月の発売時には、藤原ヒロシさんの人気と、ファンの感度の高さもあいまって10,000点のNFTは完売しました。
しかし、その後のプロジェクトの活動がないことにより、保有者は、ただ「NON FRAGMENT TOKEN」の作品がデジタルウォレットに格納されているだけの状態です。
「NON FRAGMENT TOKEN」の3つの現状
- プロジェクトを通じたコミュニティづくりがない
- 予定されている保有者の特典についていまだに言及がない
- ソラナ(SOL)の購入方法が難しい
プロジェクトを通じたコミュニティづくりがない
NFTプロジェクトにおけるコミュニティ形成は、とても重要なポイントです。
どのプロジェクトも、チャットツールのDiscordやTwitterを利用して、コミュニティづくりに重きを置いています。(adidas、PUMA、AMBUSHなどファッションブランドもこのDiscordを利用しています)
NFTは、多くの人にとって、理解することが難しいものです。
その難解さを上回るメリットを与えるためにも、コミュニティづくりは、とても重要です。
予定されている保有者への特典について、いまだに言及がない
「NON FRAGMENT TOKEN」は、初回販売時に、「同プロジェクトのNFTの保有者のみが購入可能なアイテムなども登場する予定」と発表していました。
しかし、2023年6月現在、保有者特典の発表はありません。
基本的に、多くのNFTプロジェクトでは、そのプロジェクトのロードマップをつくり、プロジェクトの行く先を共有しています。
そのロードマップに記されている特典や、コラボレーションなどの情報をもとに、NFT購入を決める人が大半です。
そのNFTの特典が、1年半を経過しても発表されていないことは、「NON FRAGMENT TOKEN」の価格を下落させている原因ではないでしょうか。
ソラナ(SOL)の購入方法が難しい
「NON FRAGMENT TOKEN」の購入は、ソラナ(SOL)という暗号資産での購入です。
一般的にNFTの取り引きには、イーサリアム(ETH)が使用されます。
ソラナ(SOL)は、国内では、GMOコインやSBI VCトレードでしか購入できないため、そこの口座を持っていない人は、あらたに口座開設が必要です。
また、ソラナ(SOL)はメタマスクに入れることができないため、ソラナ(SOL)専用のウォレットを作成・管理する必要があります。
そのため、NFT初心者の人にとっては、購入までに非常に高いハードルがあるのです。
これに関しては、購入までのハードルが高くなることで、それを乗り越える楽しさを感じる人もいるとは思います。(かなりの少数派だと思いますが)
しかし、コミュニティのサポートがない、ロードマップもない状態で、わざわざこの高いハードルをクリアしようと思う人は、少ないのではないでしょうか。
「NON FRAGMENT TOKEN」は、SoulShift(ソウルシフト) というNFTのローンチパッドがプロデュースをしているということで、SoulShiftのプロジェクト運営の問題だと感じます。
僕自身、藤原ヒロシさんのクリエイティブが好きなので、今後どのような展開になっていくか、期待をもちながら注視していきたいと思います。
まとめ
今回は、「NON FRAGMENT TOKEN」を通して、NFTにおける継続の重要性を考えてきました。
あの、ゴッドファーザーである藤原ヒロシさんと、マーク・ゴンザレスのプロジェクトでさえも、継続的な活動がなければ価値は下がり続けるのです。
NFTは、1回売ったら終わりではありません。コミュニティを形成しながらプロジェクトを育てていくことがとても重要だということが、現段階での僕の見解です。
これは、NFTだけの話ではなく、今後のさまざまなコンテンツにおいても重要な鍵のような気がしています。
そして、個人においてもそれは全く同じこと。
継続的かつ精力的な活動をコツコツと。
6月も、そんな調子で愉快にやっていきましょう!