アメリカ・ロサンゼルスを拠点に運営するヴィンテージストア「ROUND TWO(ラウンドツー)」はご存じですか?
ピンとこなかった人も、下記の写真のスニーカーは見たことあるのではないでしょうか。
これらに関わっている人物は、「ROUND TWO」の創業者であり、上記のスニーカーをデザインした人物、Sean Wotherspoon(ショーン・ウェザースプーン)です。
スニーカーやヴィンテージ業界で世界的に名声を得ている彼が、あらたに挑戦しているのが、「ヴィンテージ古着」×「NFT」。
今回は、Seanが創業者でもある「ヴィンテージ古着」×「NFT」のプロジェクト「MNTGE(ミンテージ)」について解説します。
現在は、NFT+フィジカルアイテム(実際のデニムパンツ)を提供している「MNTGE(ミンテージ)」。
今後は、拡張現実(AR)フィルターの導入や、将来的には、複数のメタバースでの着用を目指しています。
1点モノのヴィンテージ古着や、ラグジュアリーアイテムと「NFT」は、実はすごく相性のいい組み合わせです。
その相性の良さを「MNTGE」のプロジェクトを紐解きながら、NFT初心者にもわかりやすく解説していきます。
MNTGE(ミンテージ)とは
MNTGE(ミンテージ)とは、アメリカ発のヴィンテージ古着のNFTプロジェクトです。
ヴィンテージアイテムを、デジタル技術を駆使して、NFTとして展開しています。
NFTとは、「代替不可能なトークン」のことを指します。
偽造や改ざんが不可能な「ブロックチェーン技術」によって、唯一性をもたせたデジタルデータであることが最大の特徴です。
NFTには、「デジタルアート」「デジタルファッション」「ゲームアセット」「動画」「音楽」「メタバースの土地」など様々な種類があります。
その様々なデジタルデータの所有者を明確にできるのがNFTの魅力です。
詳しくは、【超初心者でも簡単にわかる】NFTとは?仕組みや始め方をファッションギークにむけてわかりやすく解説で画像付きで解説しています。ぜひそちらも読んでみてくださいね。
2022年に3人の人物によってスタートしたこのプロジェクトは、2022年12月に最初のNFT「MNTGE PASS」を発売しました。
そして、現在までに、そのNFTホルダーにむけて、新たなNFTのエアドロップ(無償配布)やフィジカルアイテム(現物)の優先購入権などの特典を付与しています。
MNTGE(ミンテージ)の創業者
MNTGEは、3人の人物でスタートしたNFTプロジェクトです。
- Nick Adler(ニック・アドラー)
- Sean Wotherspoon(ショーン・ウェザースプーン)
- Brennan Russo(ブレナン・ルッソ)
Nick Adlerは、エンターテインメント業界で、アーティストとブランドのコラボレーション案件をいくつもとりまとめてきた経歴の人物です。ビジネスパートナーとして、ラッパーのスヌープ・ドッグと手を組んだり、さまざまな企業に投資し、顧問も務めています。
Brennan Russoは、SnapchatやFacebookでエンジニアとして働いていた経歴の持ち主です。
そして、3人の中のキーパーソンが、Sean Wotherspoonです。
Sean Wotherspoon(ショーン・ウェザースプーン)
Sean Wotherspoonは、ロサンゼルス、ニューヨーク、マイアミ等に店舗を構えるヴィンテージストア「ROUND TWO(ラウンド・ツー)」の創業者です。
ROUND TWOは、ヴィンテージ品だけでなく、〈Supreme〉や〈Off-White〉、〈Nike〉や〈adidas〉などの人気アイテムも取り扱うバイセルショップです。
日本でいうところの「ブランド古着屋」にも近いですが、人気のストリートブランド+ヴィンテージ古着に特化している点と、多くのセレブリティがこぞって店に足を運ぶほどの人気ぶりが特徴のショップです。
日本でもたびたびPOP UPをおこなっており、2021年~2023年にかけては毎年、渋谷PARCOの「2G TOKYO」でROUND TWOとのコラボアイテムを発売しています。
人気となったきっかけ
Sean Wotherspoonが一躍人気となったきっかけは、2017年のこと。
〈Nike〉が主催した、未来の「AIR MAX」をコンセプトにしたデザインコンペにおいて、Seanが1位を獲得したことがきっかけで、一気に世界的認知を獲得しました。
80年代のカルチャーに影響を受けたカラフルなコーデュロイ素材のスニーカー「AIR MAX 1/97 VF SW」は、「Air Max 97」のアッパーと「Air Max 1」のソールユニットを組み合わせるという斬新なアイデアが話題となりました。
2018年3月に発売されてから現在まで、オークションサイトなどで高値で取引されるなど、コレクターやスニーカーファンから絶大な支持を得ています。
〈Nike〉とのコラボレーションをきっかけに、〈ASICS〉、〈adidas〉、〈Porsche〉、〈Vespa〉等とのコラボレーションを次々に実現していきました。
MNTGE(ミンテージ)のNFTコレクション
MNTGEのNFTは現在、5種類のコレクションがあります。
- MNTGE PASS
- MNTGE + Sean Wotherspoon Collection
- MNTGE Bale
- MNTGE + SW Garment
- Fruits & Veggies Jeans
MNTGE PASS
「MNTGE PASS」は、2022年12月に発売されたMNTGE初のNFTコレクションです。
「MNTGE PASS」をOpenSeaで購入し、保有することで、このプロジェクトで発売されるNFTに対しての優先購入権や、エアドロップ(無償配布)を受け取れます。
「MNTGE PASS」には2種類あり、通常の「MNTGE PASS DAY ONE(ベージュのカード、背景がネイビー)」と「MNTGE PASS Friends And Family(ネイビーのカード、背景がベージュ)」があります。
「MNTGE PASS Friends And Family」の保有者は、レアなNFTの特別購入権や、コミュニティへの参加権など、特別優遇をされるパスです。
MNTGE + Sean Wotherspoon Collection
「MNTGE + Sean Wotherspoon Collection」は、2023年2月に発売されたトランク型NFT。
トランクの中には、4つの貴重なヴィンテージ衣服(MNTGE + SW Garment)のうちの1つのデジタルウェアラブルと、それをカスタマイズできるインク(MNTGE + SW Ink)が格納されています。
「MNTGE PASS」保有者は、まず「MNTGE + Sean Wotherspoon Collection」の公開販売に優先的に参加することができました。そして、その後、「MNTGE PASS」保有者には「MNTGE + Sean Wotherspoon Collection」のエアドロップ(無償配布)がおこなわれることになりました。
MNTGE Bale
MNTGE Baleは、「MNTGE PASS Friends And Family」の所有者もしくは、OpenSeaでの2次流通でのみ入手できる限定NFTです。
このNFTの中身に関しては、現状どこのメディアにも明かされておらず、SNSでリサーチしても中身に言及している投稿は見かけませんでした。
今までの流れから考えると、特別なヴィンテージアイテムのデジタルウェアラブルの可能性が高いかなと妄想しているところです。
MNTGE + SW Garment
「MNTGE + SW Garment」は、Seanが保有している希少なヴィンテージウェアをデジタル化したNFTアイテムです。
「MNTGE + SW Garment」には4つのアイテムがあります。
- 60s JEANS
- 70s JACKET
- 80s KNIT
- 90s T-SHIRT
MNTGE + SW Ink
「MNTGE + SW Garment」は、インク(MNTGE + SW Ink)を使ってカスタマイズすることができ、そのインクの特別な特性に基づいてユニークな体験を生み出すことができます。
インクの種類は以下のとおり。
- SUNFLOWER
- LIVING PLANT
- SHROOM
たとえば「70s JACKET」にインクを使用すると、そのデニムジャケットからヒマワリや、植物、マッシュルームがニョキニョキと生えてくるようなNFTへと生まれ変わります。
Fruits & Veggies Jeans
Fruits & Veggies Jeansは、MNTGEが発表した最初のフィジカルアイテム(現物)です。100着限定で、2023年4月に発売されました。
ヴィンテージのLevi’s 505に、キュートなフルーツの刺繍が施された特徴をもつアイテムです。
このデニムパンツは、NFTと連動しており、IYKアプリを使って所有権の証明をすることができます。
IYKアプリとは、物理的な体験とデジタルな体験をつなぐアプリです。
IYK のNFC (近距離無線通信) タグが、Levi’s の紙タグ部分に縫い付けられており、スマートフォンでスキャンできる MNTGE ロゴが上部に縫い付けられています。そこから所有者は、無料でそのデニムの NFT を請求できます。
Fruits & Veggies Jeansの販売価格は、MNTGEパスの所有者が200ドル、一般が250ドルで発売され、即完売となりました。
MNTGE(ミンテージ)のプロジェクトへの参加方法
MNTGEのプロジェクトへ参加する方法は、主に2つです。
- MNTGEのコレクションをOpenSeaで購入する
- MNTGEのフィジカルアイテムをMNTGE MARKETで購入する
「MNTGE PASS」を保有して、様々な特典を受け取ったり、「MNTGE MARKET」でフィジカルアイテムを購入して、固有のNFTを入手することで、プロジェクトへ参加することができます。
OpenSeaでNFTを購入する際は、暗号資産のイーサリアム(ETH)が必要です。まだ暗号資産を保有したことがない人は、ぜひ以下の記事を読んでみてくださいね。
おわりに
今回は、『ヴィンテージ古着のNFT「MNTGE(ミンテージ)」』について解説しました。
ヴィンテージ古着好きや、スニーカー好き、Sean Wotherspoonに興味があるファッションギークにとっては、特に興味深い内容だったのではないでしょうか。
僕自身、Sean WotherspoonやROUND TWOは、6~7年前から色々情報を追っかけていたので、SeanがNFTプロジェクトを始めた際には、とてもテンションが上がりました。
1点モノであるヴィンテージアイテムが、デジタル化されることで複数人がそれを享受(きょうじゅ)できる点は、「ヴィンテージ古着」と「NFT」の組み合わせの特筆すべき点ですね。
また、フィジカルアイテム(現物)を購入した際にNFTが発行されることに関しても、真贋(しんがん)判定しやすくなる点で、とてもいい取り組みだと思いました。
日本では、まったくといっていいほど、まだ認知を得ていない「MNTGE」。
しかし世界的に見たら、「MNTGE」に関わっている人の顔ぶれ(コレットの創業者やスヌープ・ドッグの次男、Bored Ape Yacht Club(ボアード・エイプ・ヨット・クラブ)の共同創業者、Gucciのメタバース部門の最高経営責任者など…)を見るだけでも、注目度の高いプロジェクトであることは間違いないです。
ぜひファッションギークは、「MNTGE」の今後の取り組みをチェックしてみてはいかがでしょうか。