BAYC(Bored Ape Yacht Club)とは?BAPEやadidasとコラボするNFTプロジェクトを徹底解説

2021年頃からバズワード化し、様々なメディアで目にするようになった「NFT」というワード。

しかし2023年は、NFTに対して過度な期待のピークが過ぎ、幻滅期に入っていました。(実際、NFTの取引高は、2021年~2022年と比較して下落していました)

とは言うものの、2023年12月現在、〈Nike〉、〈adidas〉、〈Louis Vuitton〉、〈Gucci〉、〈Maison Margiela〉、〈DIOR〉などスポーツブランドからラグジュアリー、モードブランドまで多くのファッションブランドがNFTを利用して、デジタルでの取り組みを加速させています。

そんなNFTにはさまざまなNFTプロジェクトがありますが、2021年頃の黎明(れいめい)期にリリースされてから世界中で人気を博している「BAYC(Bored Ape Yacht Club)」はご存じでしょうか。

BAYC(Bored Ape Yacht Club)」は、2021年4月にリリースされた猿がモチーフのNFTコレクションです。
2023年12月現在のフロアプライス(最低出品価格)は、約900万円(28.5ETH)!

〈A BATHING APE〉や〈adidas〉ともコラボレーションしており、コラボしているフィジカルアイテムはそのどれもがプレ値がつくほどの人気ぶりです。

NFTときくと、NFTアートを連想される人が多いと思いますが、「BAYC(Bored Ape Yacht Club)」は、NFTの枠をとびこえて、メタバース空間をつくったり、独自のコミュニティを形成したりしています。

そのため、ただNFTアートを保有して終わりではなく、NFTを通してあらたなweb上での体験を提供してくれるのが大きな魅力です。

今回は、そんな「BAYC(Bored Ape Yacht Club)」について、NFT初心者でも簡単にわかるような言葉選びをしながら、解説していきます。

この記事を見ることで、「BAYC(Bored Ape Yacht Club)」がファッション業界からラブコールを受けているのか?ファッションとの相性がいいのか?がおわかり頂けます。

では、いきましょう!

BAYC(Bored Ape Yacht Club)とは

引用:Bored Ape Yacht Club

BAYC(Bored Ape Yacht Club)」(以下、BAYCという。)は、2021年4月にリリースされた猿がモチーフのNFTコレクションです。

BAYCは「Bored Ape Yacht Club(ボアード・エイプ・ヨット・クラブ)」の略で「ベイシー」と呼ばれています。

アメリカ・マイアミに拠点を置くYuga Labs(ユガラボ)が運営しているNFTコレクションで、発行した10,000種類のNFTは、それぞれ異なる容姿やキャラクターを持ち、100種類以上のパーツをプログラムで組み合わせて自動生成されています。

BAYCのコンセプトは、「お金を持て余して退屈している猿たちがクラブを作り、バーでたむろする」。
ランダムに生成されているので、全く同じキャラクターは存在せず、全てが唯一無二のデザインです。

これまでに、最も高額で取引されたBAYCのNFTは、300万ドル(2023年12月時点のレートで約4.2億円)という破格の金額ということもあり、大きな話題となりました。

BAYC(Bored Ape Yacht Club)の特徴

BAYCには大きく3つの特徴があります。

世界的な人気を獲得しているNFTコレクション

引用:OpenSea

BAYCは、世界的な人気を獲得しているNFTコレクションです。

世界最大規模の取引量を誇るNFTマーケットプレイスのOpenSeaでは、BAYCは過去の取引総額が2位という実績があります。

ちなみに、過去の取引総額の第1位も、BAYCを制作したYuga Labsが運営している、CryptoPunks(クリプトパンクス)です。

BAYCから派生したコレクション「Mutant Ape Yacht Club(MAYC)」、「Bored Ape Kennel Club(BAKC)」という2つのNFTコレクションも人気があり、それら全てを手掛けるYuga Labsの影響力は増す一方です。

保有者限定のコミュニティがある

BAYCには、NFT保有者限定のコミュニティがあります。

開かれたコミュニティでないからこそ、普段出会うことのない著名人などとも人脈を築ける可能性を秘めているのが、BAYCホルダーの大きなメリットといえるでしょう。

DIscordコミュニティ

引用:Bored Ape Yacht Club

BAYCは、BAYCホルダーのみが参加できるDiscordグループでコミュニティを運営しています。

Discordとは、アメリカで開発されたテキスト、ボイス、カメラに対応しているチャットツールのこと。
メッセージをやりとりするチャットサービスや音声通話機能、画面共有機能などさまざまな機能があります。
パソコンのブラウザやスマホのアプリでも利用できるのが特徴です。

Slack(スラック)と近い機能をもったツールですが、Slackが主に、組織向けのツールに対して、Discordは、オープンなコミュニティで使用されるツールです。

NFT関連のコミュニティやゲーマーの間で、よく使用されています。

BAYCは、多くの著名人や海外セレブ、プロスポーツ選手なども保有しているNFTとして知られているNFTコレクションです。

そのため、BAYCを保有することで、こういった著名人とも繋がることができるというのは非常に大きなメリットといえます。

渋谷にある会員制コミュニティスペース「MUTANT STAND」

2022年11月には、BAYCの展開する派生コレクション「Mutant Ape Yacht Club(ミュータント エイプ ヨット クラブ)」のアイコンを用いた会員制コミュニティスペース 『MUTANT STAND』が、渋谷にオープンしました。

『MUTANT STAND』では、NFTを中心にweb3の様々なカルチャーを独自の視点からクロスオーバーしたイベントやコンテンツ、グッズ販売などが行われています。

BAYCホルダー同志がリアルで会える場を提供しているのも、コミュニティを大事にするBAYCならではの取り組みですね。

独自のエコシステム(メタバース)がある

BAYCを運営しているYuga Labsは、『Otherside』というメタバースプロジェクトを手掛けています。

『Otherside』では、世界中のユーザーとゲームをしたり、創作活動をしたりと、仮想空間上で遊びながらコミュニケーションをとれるという特徴があります。

また、自身が保有しているNFTのキャラクター(BAYC・MAYC・CryptoPunks等)を持ち込んでプレイできる点も、大きなメリットといえるでしょう。

メタバースとは、「インターネット上につくられた3次元の仮想空間」のこと。
メタバースの定義は、現時点では人により解釈が異なります。

channel IVYでは、『なんらかの価値交換や経済活動が行われている仮想空間』をメタバースとして定義しています。

詳しくは、メタバースとは?ファッションギークにわかりやすく解説【初心者向け】で画像付きで解説しているので、ぜひ読んでみてくださいね。

また、『Otherside』では、エイプコインという暗号資産を通貨としており、独自のエコシステムを構築している点も特徴として挙げられます。
(今回は、話が拡がりすぎるのでエイプコインの解説は割愛しますね)

このように、BAYCはNFTを保有して完結するプロジェクトではなく、そのNFTを通して、さまざまなweb3体験を提供してくれる点が大きな魅力といえるでしょう。

BAYC(Bored Ape Yacht Club)とコラボしているファッションブランド

ここからは、ファッションギークが気になるBAYCとコラボレーションしているファッションブランドについて深掘りしていきます。

BAYCとコラボレーションしている代表的なブランドは、〈A BATHING APE〉と〈adidas〉の2ブランドです。

A BATHING APE

引用:A BATHING APE

BAYCは、〈A BATHING APE〉とのコラボレーションアイテムを2023年12月16日にリリースしました。

発売されたアイテムは、Tシャツ、コーチジャケット、フーディ、バケットハット、メッシュキャップ、クッション、ラグ、スニーカーの8種です。

12月16日時点で全種類が即完売となりました。(予想通りの人気ぶりでしたね)

勘のいい人ならお気づきの通り、両ブランドともに猿がモチーフのキャラクターがブランドアイコンです。
世界的な認知を獲得している点や、最初は小規模からスタートし、爆発的な人気とともにブランドが大きくなっている点など、共通点の多い両者ならではのコラボですね!
相性◎です。

発売されたアイテムの一例がこちら。

引用:A BATHING APE
引用:A BATHING APE
引用:A BATHING APE
引用:A BATHING APE

2000年代初頭のストリートウェアのエッセンスが反映されていて、とても両者の良さが出た良コラボですね!

adidas

引用:adidas

BAYCは、2021年12月に〈adidas〉のNFTプロジェクト『Into The Metaverse』とコラボレーションしました。

『Into The Metaverse』のNFTは、30,000点が販売価格0.2ETH(現在のレートで約6万2千円 ※2023年12月17日時点)で出品され、即完売しました。

現在でも2次市場では、ミント価格(初回販売価格)の2倍以上の価格で取引され続けています。

引用:OpenSea

このコラボレーションNFTは、PFP(プロフィールピクチャー)としてのNFTの価値だけでなく、デジタル+フィジカルアイテムの入手権利も含まれています。

トラックスーツ 引用:adidas
ビーニー&フーディ 引用:adidas

「Into The Metaverse」NFTの保有者は、デジタルアイテムを入手できる権利を持っています。

このデジタルアイテムは、複数のメタバース(Roblox、The Sandbox、Decentraland、Zepeto等)で着用可能です。

また、『Into The Metaverse』のフィジカルアイテムは、トラックスーツ、フーディ、ビーニーキャップがリリースされており、非買品でありながら、人気アイテムとして2次市場で取り引きされています。

メルカリヤフオクでまだ手に入れるチャンスはあるので、気になる人はぜひチェックしてみて下さいね。(2023年12月17日現在)

〈adidas〉の『Into The Metaverse』に関しては、【徹底解剖】adidas(アディダス)のNFTプロジェクトとは?【Into The Metaverse】で詳しく解説しています。

また、〈adidas〉と〈A BATHING APE〉がコラボしたNFT付きスニーカーについても【NFT付き】adidas(アディダス)とBAPE(ベイプ)のコラボスニーカーを解説で画像付きで深掘りしていますので、ぜひこちらも読んでみてくださいね。

BAYC(Bored Ape Yacht Club)の購入方法

引用:OpenSea

BAYCのNFTを購入するには、OpenSea等のセカンダリーマーケット(2次市場)に出品されたNFTを購入する必要があります。

そして、OpenSeaでBAYCのNFTを購入するには、暗号資産の「イーサリアム(ETH)」と「デジタルウォレット(メタマスク)」が必要です。

NFTの購入手順は、大きく5つです。

  • 暗号資産(仮想通貨)取引所の口座開設をする
  • 暗号資産(仮想通貨)取引所でイーサリアム(ETH)を購入する
  • 購入したイーサリアム(ETH)をメタマスク(デジタルウォレット)に移す
  • メタマスクとOpenSeaを接続する
  • 購入したいNFTのページにアクセスして、購入する

下記の記事で、画像付きで口座解説の方法、イーサリアムの買い方、メタマスクへの送金方法を解説していますので、ぜひ参考にしてみて下さいね。

おわりに

今回は、「BAYC(Bored Ape Yacht Club)」について解説してまいりました。

NFTについて、あまり詳しくないファッションギークの人でも、BAYCのことが理解できたのではないでしょうか。

NFTやメタバースは、一時期の爆発的な流行が過ぎ、幻滅期を経て、今後2024年以降はゆるやかに普及していくでしょう。

ファッションの文脈においても、〈Louis Vuitton〉や〈RIMOWA〉、〈Tiffany & Co.〉など多くのブランドを傘下にもつLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)はじめ、多くのラグジュアリーブランドや、〈Maison Margiela〉のようなモードブランドまで、web3領域の取り組みを加速させています。

そういった意味でも、NFTを黎明(れいめい)期から盛り上げてきた、BAYCやCryptoPunks、RTFKTなどのNFTプロジェクトを把握しておくことで、より「ファッション」×「web3」の未来を深く知る手助けになると考えています。

今後もこのchannel IVYでは、「ファッション」×「web3」の情報を中心に、テクノロジーに詳しくない人でもわかるような言葉で解説していきますので、ぜひお楽しみに。

では、また。